第21回 日本アディクション看護学会学術大会開催に当たって
学術集会テーマ「地域との共生を連携・協働で創り、自立・自律を妨げないアディクションケア」
第21回日本アディクション看護学会学術集会を、令和5年(2023年)9月9日(土)に石川県白山市の学校法人金城学園 金城大学(笠間キャンパス)で開催させていただきます。北陸では、はじめての開催になりますが、ハイブリッド開催(対面・オンデマンド配信)で計画しております。
標高2702mの白山連峰に抱かれ、日本海に突き出て広がる石川県。白山市は、その白山連峰から日本海まで広域な大地に位置しており、石川県では最大の面積で、人口は金沢市に次ぐ2番目です。「住みよさランキング2019」(東洋経済編集部)では、総合評価全国1位になりました。また、この自然あふれる白山市全域が、「白山手取川ジオパーク」として2011年に日本ジオパークに認定されて国内推薦を受けました。そして、2022年12月には世界ジオパークに認定される見通しのニュースがありました。このような海・山・里の豊かな自然に恵まれた白山市には、人を飽きさせない多彩な魅力が詰まっています。
さて、近年多様化するアディクション問題(アルコール、薬物、ギャンブル、過食・
拒食、インターネット、ゲーム、恋愛、自傷行為など)にかかわる支援の実現には、保健・医療・福祉・教育の連携・協働が必要になります。また、当事者・その家族に対応できる体制の構築には社会全体の理解が重要です。そのためには、これまで支援にかかわってきた看護職と他職種の力量が求められます。
本学術集会のテーマは「地域との共生を連携・協働で創り、自立・自律を妨げないアディクションケア」です。アディクション問題を社会全体で受け止め、当事者の回復を見守り、自立・自律を決して妨げることのない社会の創造に寄与することです。現状、アルコール健康障害基本法、ギャンブル等依存症対策基本法の制定や、依存症対策総合支援事業が定められています。これらの社会状況から公衆衛生的な観点、ソーシャルワークの観点などを理解し、総体(マクロ)的な視点(コミュニティの開発、ネットワークの構築)とミクロな視点(当事者・その家族のかかわり、理解)を確立する機会になることを期待しています。
本学術集会は、1日の開催となりますが、アディクション問題にかかわる複数の課題について、講演、公開講座、交流集会、研究成果の発表や回復のプロセスの討議などを通し検討したいと考えています(プログラム内容の変更もあります)。
厚生労働省が、新型コロナの感染症の名称を「コロナウイルス感染症2019」と変更する方向で調整しています。新型コロナの感染症の位置づけが、危険度の高い「2類相当」から2023年5月8日に、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針を正式に決めました。しかし、国民の生活のほか企業や医療機関などに大きな影響を及ぼす懸念があります。本学術集会開催時の2023年9月がどのような状況下であるかの不安もありますが、現在、実行委員一同で本学術集会の開催に向けて準備しております。
看護学、他分野の動向を知り、分野・世代を超えて、多様な視点を学ぶことよって、新たな視点を得ることができます。
アディクション問題の支援に関与している専門職や、関心のある様々な立場の方々のご参加をお待ちしております。
金城大学大学看護学部看護学科・公衆衛生看護学専攻科
学術集会長 一ノ山隆司